ソフトフィンガーにおけるセンシング

ソフトフィンガーにセンサを埋め込み,フィンガーの屈曲を検出することを試みた.三次元プリンタによるフィンガーの製作中に,フィルム状の曲げセンサを埋め込み,フィンガーの曲げ変形を測定した.曲げセンサを有する複数のフィンガーから成るソフトハンドを構築し,対象物を把持する実験を行った.対象物を把持できたときと,指と対象物の間に滑りが生じ,把持が失敗したときでは,センサの出力が異なることがわかった(図14).滑りが生じたときには,曲げセンサの出力が大きく変化し,把持が成功したときには変化が小さい.したがって,ウェーブレット変換等を用いることにより,滑りの検出が可能であると考える.また,ソフトフィンガーの変形のダイナミックシミュレーションを実行し,シミュレーション結果と実験結果を比較したところ,両者が良く一致することがわかった.

図14 ソフトフィンガーに埋め込んだフィルム曲げセンサの出力

柔軟な指先の内部に埋め込むことが可能なセンサとして,永久磁石とホール素子を用いるセンサを構成した.永久磁石は柔軟な指先内部に埋め込まれ,ホール素子は指の底面に固定されている(図15).指先の変形に伴い,永久磁石とホール素子の相対的な位置関係が変化し,結果としてホール素子の出力が変化する.したがって,ホール素子の出力から,指先に作用する力を推定することができる.

図15 柔軟な指先に埋め込まれた永久磁石とホール素子から成るセンサ

さらに,ソフトフィンガーの曲げ変形を検出する手法として,導電性繊維を用いる手法,複数の導電パターンを用いる手法を提案した.また,MEMSベースの触覚センサを試作し,そのセンサを用いて,布表面のテクスチャーの評価を試みた.

研究発表

ソフトフィンガーの曲げ変形の検出(センサの埋め込み)
ソフトフィンガーの曲げ変形の検出(導電性繊維)
曲げ変形の検出(複数の導電パターン)
ソフトフィンガーの曲げ変形のダイナミックシミュレーション
永久磁石とホール素子を用いるセンサ
MEMSベース触覚センサによるテクスチャーの評価