要旨
組立作業に代表されるマニピュレーションにおいては、コンプライアンスを利用した巧みな動作が必要になる。本研究では、望ましいコンプライアンスの一般的な条件を、理論的に明らかにする。
まず、環境との接触によって拘束される物体の運動を、射影行列を用いて記述する。この射影行列は、ハイブリッド制御におけるセレクション行列を、一般化したものに相当する。コンプライアンス制御の目的は、作業環境に存在する不確定性に対処して、適応性に富む動作を実現することである。環境の位置・姿勢のずれなどの幾何学的不確定性と、摩擦力の変化などの力学的不確定性に対して、物体の位置・姿勢が大きくずれないための、コンプライアンスに関する条件を導く。物体が環境に加える接触力が急激に変化すると、くいつきを引き起こし、組立が失敗することがある。そこで、接触力が大きく変化しないためのコンプライアンスに関する条件を導く。最後に、コンプライアンスの計画を行った例を示す。
The Planning of Compliance for Adaptive Manipulation
under Uncertainties in the Environment
Abstract - A new approach to the planning of compliance under
uncertainties in the environment is presented. The constraints of
object motion is described by projection matrices. Using the
projection matrices, the compliance matrix is determined so that the
object may not be deviated and that the contact forces may not be
changed.